ECHO OHARANO 2024 『“Deep breathing” – 深呼吸』REVIEW
京都市西京区・大原野を舞台としたアートイベント『ECHO OHARANO』の4年目。『ECHO OHARANO 2024 “Deep breathing” – 深呼吸』と題された今年のテーマは「芸術と呼吸」。分野や国籍の異なる9名の作家の展示と参加型のイベントが行われた。
展示会場は、OHARANO STUDIO GALLERY、正法寺、「みつばちBunBun クロスケの大原野げんき畑」。ギャラリー、寺、イチゴ畑という3会場の組合せは、大原野だからこそ実現されたものだろう。
そして、正法寺への参拝客が展示作品を偶然目にする、「げんき畑」にイチゴ狩りに来た家族連れが展示作品に興味をもつといった場面が見受けられ、様々な目的で大原野を訪れた人が芸術に出会うきっかけが生み出されていた。
このような体験は、絵画、写真、工芸など、多彩なアプローチから制作された作品によって実現された。今年の作品の特徴として、見る者に静かで落ち着いた時間をもたらす、その静謐さを挙げることができるのではないだろうか。各会場に置かれた作品は、声高に何かを訴えるというより、静かにそこにあり、瞑想や深い思考を促すものとして存在した。そのため、偶然の観客も巻き込む寛容さがあった。
京都市西京区・大原野を舞台としたアートイベント『ECHO OHARANO』の4年目。『ECHO OHARANO 2024 “Deep breathing” – 深呼吸』と題された今年のテーマは「芸術と呼吸」。分野や国籍の異なる9名の作家の展示と参加型のイベントが行われた。
展示会場は、OHARANO STUDIO GALLERY、正法寺、「みつばちBunBun クロスケの大原野げんき畑」。ギャラリー、寺、イチゴ畑という3会場の組合せは、大原野だからこそ実現されたものだろう。
そして、正法寺への参拝客が展示作品を偶然目にする、「げんき畑」にイチゴ狩りに来た家族連れが展示作品に興味をもつといった場面が見受けられ、様々な目的で大原野を訪れた人が芸術に出会うきっかけが生み出されていた。
このような体験は、絵画、写真、工芸など、多彩なアプローチから制作された作品によって実現された。今年の作品の特徴として、見る者に静かで落ち着いた時間をもたらす、その静謐さを挙げることができるのではないだろうか。各会場に置かれた作品は、声高に何かを訴えるというより、静かにそこにあり、瞑想や深い思考を促すものとして存在した。そのため、偶然の観客も巻き込む寛容さがあった。
会期中には多くのイベントも開催された。瞑想会、料理、枯山水体験などのプログラムに、多くの参加者が集まったようである。例えば、おりん演奏と共に行われた正法寺でのヨガ。筆者も参加したこのイベントでは、庭を見渡すことのできる宝生殿で、おりんの音色を聴きながら何度も繰り返し“深呼吸”することで、「芸術と呼吸」のテーマを身体でも実感することになった。
村木悦子 - おりん演奏 + 村松諒子 - 深呼吸 ヨガ の様子(正法寺)
いわゆる「街」にいても、芸術に触れること、「深呼吸」をすることは可能であろう。しかし、大原野という土地だからこそ、それらの体験はより純粋に、高い質をもって存在したのではないだろうか。人の流れの少なさは目の前の作品や行為への集中力を高め、豊かな自然がもたらす空気は「深呼吸」の質を向上させる。展示やイベントの会場外に出たとしても、周囲に広がる穏やかな風景は会場の空気と矛盾することがない。
『ECHO OHARANO』は、このような一連の体験を叶える場として存在し、今年のテーマ「芸術と呼吸」を実感する機会を多くの人々にもたらしていたと考えられる。
『ECHO OHARANO』は、このような一連の体験を叶える場として存在し、今年のテーマ「芸術と呼吸」を実感する機会を多くの人々にもたらしていたと考えられる。
学生チーム「Bamboo Bridge」と「洛再Links」による竹を用いたアートワーク(OHARANO STUDIO GALLERY外庭)
波多野円香(OHARANO STUDIO GALLERY)